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不要なパソコンを安全に処分するためには?

パソコンを処分する前に確認しておきたいポイント

2019/10/10
不要なパソコンを安全に処分するためには? パソコンを処分する前に確認しておきたいポイント

みなさんは、使わなくなったパソコンをどのように処分しますか。売却、譲渡、廃棄にあたっては、パソコン内の重要なデータが漏えいしてしまうリスクを回避しなければなりません。パソコンを安全に処分する方法を紹介します。

パソコンには重要なデータが保存されている

2020年1月14日のWindows 7サポート終了を機にパソコンの買い替えを検討している方も多いのではないでしょうか。新しいパソコンへの移行が済んだら、使わなくなったパソコンを安全に処分する方法も確認しておきましょう。

みなさんは不要になったパソコンを処分するとき、どのようなことを心がけていますか。パソコンを手放す場合は、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)内のデータが第三者の手に渡ってしまうリスクを回避することが重要です。

HDDとは円盤状の記憶装置で、ディスクを回転させて磁気的に情報を書き込んだり消したりしています。一方SSDは半導体メモリ(フラッシュメモリ)を記憶装置としたもので、電気的制御によって情報を記憶しています。パソコンの中には、HDDとSSDの両方、もしくはどちらかが内蔵され、そこにさまざまなデータが記録されています。アドレス帳などの個人情報や写真、動画、文書だけでなく、場合によってはクレジットカード情報やインターネットサービスの認証情報(IDとパスワード)、業務関連情報なども含まれているでしょう。そんなパソコンを不用意に処分すると重要なデータを第三者に抜き取られ、悪用されてしまうかもしれません。

パソコン処分後の情報漏えいを防ぐポイント

みなさんは、パソコンの処分にあたってHDDやSSD内のデータを完全に消去するとき、どのような方法をとりますか。対象のファイルやフォルダをゴミ箱に入れ、「ゴミ箱を空にする」を実行するだけでよいでしょうか。HDDやSSDを初期化したり、パソコンのリカバリを実行して工場出荷時の状態に戻したりすれば目的が達せられるでしょうか。実は、これらの方法をとってもデータそのものは消去されずに残ります。データ復元ソフトを使えば、表面上は見えなくなっているデータを容易に復元できてしまうのです。では、情報漏えいを防ぐためにはパソコンを処分する前に何をすればよいのでしょうか。

<HDDの場合>

HDD内のデータを完全に消去する

  • データ消去ソフトを利用する
    データ消去ソフトを利用すれば、HDDの全領域に何度もダミーのデータを上書きし、元のデータを復元できない状態にできます。データ消去ソフトと一口に言っても、無料で配布されているものもあれば有料版もあり、それぞれ上書き方法やスピードが異なります。パソコンにもともとインストールされていたり、付属品として用意されていたりするものがある場合は、まずはそれを試してみましょう。使い方がわからない場合は、各パソコンメーカーのサポートページを参照してください。
  • 強磁気を照射してHDDのデータを消去する
    HDDは磁気的に情報を書き込んでいるので、強力な磁場内に置くことでデータを強制的に消去できます。その場合はデータ消去の専門業者が所有する強磁気破壊装置を利用します。

HDDを物理的に破壊する

データ消去の専門業者が所有するHDD破壊機でHDDを加圧破壊する方法もあります。ただし、ハンマーやドリルなどを用い、個人でHDDを壊すのは絶対にやめましょう。中途半端に壊されたHDDからはデータを復元できる場合がありますし、部品やディスクに使われているガラスが割れて飛び散った破片で怪我をするリスクもあるため大変危険です。

<SSDの場合>

SSD内のデータを暗号化する

SSDは書き込み可能な回数に限りがあり、同じ場所に書き込みが集中しないよう記録領域全体を均一に使用する技術が用いられています。このため、データ消去ソフトによって繰り返し上書きを行ってもデータが残存してしまう場合があります。SSDの処分ではドライブ全体を暗号化し、第三者にデータを解読させない方法をとりましょう。Windowsに搭載されている暗号化ツール「BitLocker」や、Macの「FileVault」を使用してドライブ全体を暗号化した後、SSDを初期化してください。万全を期すなら初期化後に再度暗号化を行いましょう。

暗号化とは、元のデータをあるきまった法則で違う情報に変換し、情報を復号しないと元のデータを確認できないようにすることを言います。データを暗号化するにも復号するにも、鍵と呼ばれる情報を変換する法則が必要となります。そのため、暗号化された際に使った鍵と対になる、もしくは同じ鍵が無い限り、もとの情報を第三者が参照することはできません。暗号化方式としては大きく、暗号化と復号の両方で同じ鍵を使うものと、異なる鍵を使うものがあります。暗号化は情報漏えいや改ざんを防ぐための技術としてインターネット上で幅広く使われています。

PC をリフレッシュ、初期状態に戻す、または復元する方法
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/17085/windows-8-restore-refresh-reset-pc

Mac のディスクを消去する方法
https://support.apple.com/ja-jp/HT208496

SSDを物理的に破壊する

SSDにはデータを記録するフラッシュメモリが複数あり、そのすべてを破壊しないと部分的にデータを復元できる可能性があります。データ消去の専門業者が所有する特別な機械でSSDを完璧に破壊してもらいましょう。

データを復元できないようにする前に

処分するパソコンのデータを復元できないようにする前に、必要なデータは必ず新しい機器や外付け記憶装置、クラウドサービスなどに保存し、移行先で問題なくファイルを開けることを確認してください。また、パスワード管理ソフトなどを使用し、利用しているネットサービスのパスワードを新しい機器にも引き継げるようにしておきましょう。さらに、データ消去ソフト等を利用する場合には、パソコンの周辺機器などもすべて外すことも忘れないでください。それらを接続したままでは、不完全なデータ消去、必要なデータの消去や破損につながる可能性があるためです。これらの確認が終わったら、作業を開始しましょう。
業務で利用しているパソコンについては、勤務先のルールに従って処分してください。新しいパソコンへのデータ移行時に勤務先が許可していないデバイスやクラウドサービスを利用するのは厳禁です。

パソコンの処分方法と注意点

パソコンを処分するのはHDDやSSDから重要なデータが漏えいしないという確信を得られてからにしましょう。処分方法は大きく、売却、下取り、譲渡、廃棄の4つあります。いずれの場合も確実に情報を消去してから処分するようにし、専門業者を利用する場合は複数を比較した上で信用できるサービスを選択しましょう。データ消去サービスが付帯されている場合もありますが、念のため自身で可能な限りデータを消去してから引き取ってもらう方がより安全でしょう。

家族に譲渡する場合については、次の利用者のために基本的なセキュリティ対策を行ってから渡すと良いでしょう。未成年やネットに不慣れな家族のだれかに譲り渡す場合は、安全に使える環境を用意してあげることが重要です。そのポイントは、セキュリティソフトを入れて最新の状態にしておくこと、OSやソフトを最新バージョンにアップデートしておくことです。これにより、ネット詐欺やウイルス感染にさらされるリスクが軽減します。また、ペアレンタルコントロールなどのサポート機能を適用し、不適切なWebサイトへのアクセスを防いだり、ネットやソフトの利用時間を制限したりすると良いでしょう。家庭のWi-Fiに接続される機器が複数ある場合は、ホームネットワーク全体を保護してくれるセキュリティ製品の利用もおすすめです。

故障などにより引き取り手のないパソコンは廃棄もやむなしです。ただし、パソコンを勝手に不燃ゴミとして捨ててはいけません。パソコンは資源有効利用促進法のリサイクル品目に指定されているためです。「PCリサイクルマーク」が付いているパソコンの場合、メーカーに連絡をすれば無料で引き取ってくれます。PCリサイクルマークがないパソコンや自作パソコンについてはパソコン3R推進協会に回収を依頼し、リサイクル料金を支払いましょう。また、小型家電リサイクル法に基づき、自治体によっては回収ボックスを設置してパソコンの回収、リサイクルを行っている場合もあります。小型家電リサイクル法の認定業者に回収を依頼すれば無料で引き取ってもらえることもあります。その際、故障などでデータ消去ソフトや暗号化ツールが使えない場合は、専門業者に物理的な方法でデータを消去してもらってから廃棄するようにしましょう。

一般社団法人パソコン3R推進協会
http://www.pc3r.jp/

コンテンツ提供: トレンドマイクロ「is702」
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